2006.3.15
朝方5時。
暗闇の住宅街はひとけが全く無くランニングには好都合。
どう見てもスポーツマン体型じゃないから周りに人が居たら明らかにダイエットだとバレるであろう。
お腹の肉が上下に振動する度にこのまま飛んで行けばいいのに、と願うのであった。
「とりあえず6時まで頑張ろー。」
30分経過してぜいぜい言ってる割には全然汗が出ない。
なんて新陳代謝が悪い体なんだ。 のど乾いたしコーラ飲みたい。金あったっけー。
とかいつものパターンに陥りそう。やばい・・・。
と目の前に人影らしきものが。
無人の街の横断歩道、老婆が1人ぼんやりと立っている。目の前の信号は青になってるのに!
両手でしっかりと握る先には 婆さまの定番手押し車。
(この不気味さ。想像してみてください。)
恐ろしさを打ち消すために「あー見ちゃったかな。」なんて平静を装ってみるものの 心は恐怖でいっぱいになってしまっている。こうなったらもうどうしようも出来ない。
「帰ろ」即決。くるっと回れ右して家路を急ぐ。無我夢中で走りぬけた学校・スーパー・バス停。
ん?バス停・・・ 異物感を感じて恐る恐る振り返る。
暗闇の中 視線は真っすぐ道路へ微動だにしないおじいさんがひとりバス停の長椅子に腰をかけていた。
あーこんな時声が出ないんだね。 あーこんな時腰が抜けるんだね。
まるで上半身と下半身が分離したかのようなへなちょこな走りはそれでも前に進んでくれた。
ようやく家に着くと汗と涙と鼻水が混ざって、顔はぐちゃぐちゃになっていた。
あの2人は何だったのであろう。
パーカーの首に染みている汗を見下ろしながら一人朝日を迎えたのでした。

2006.3.1
オシャレなカフェ。
コーヒーの香りに少し甘さを加えて 流れるジャズもこの空間を充分に演出してくれている。 外の雑踏を抜け出し、ここだけ時の流れが別世界。
・・・なんてことにはなりそうも無いこの店。
隣にはオシャレなのか破けてるのか分からないような服を着た二人の女。
締まりの無い口から出る無茶苦茶な日本語は、徐々に大きく勢いも増していくから 周りの人間の眉間のシワはいよいよ深くなっていく。
「私〜。最近ガールズやりたいんだよね〜。」
「じゃあ、ふつうにレゲエが良くね〜?」
「でもレゲエって、<子作り>って意味じゃん。私まだ子供な人っぽいしよ〜。」
「てかアンタもうハタチくさくね〜?」
「なんだよね〜。マジやばくね〜?」
「死んでしまえって感じ〜。」
・・はい。どうぞ!!! 平和な日本。 地球の裏側行ったら確実に死ぬな、こいつら。

2005.11/23
あわただしいお昼のラッシュも一段落。
雰囲気を変えた店内に、 自然とお客様の箸もゆっくりになる。
時計は午後4時。 私はこの空気がなんとなく気にいっている。
時間の流れが今にも止まりそうな。

「なんかこんなもの渡されたんですけど・・・。」
店の前に出しているサンプル用の「日替わりランチ」を下げにいった女の子が 手のビニール袋をこちらに突き出して言う。
聞くと、外でランチのサンプルをくれとホームレスのおばちゃんにせがまれたそうな。
「もう5時間も経ってるから食べられません、って断ったらコレ渡されて。」
女の子が両手でビニールをバツが悪そうに広げた。
「ぎょえーーーーーーーーっっ!!」
 ・・・もう眠いから続きは明日! さて、そのビニールの中身とは!? こうご期待。

中にすっぽりと収まったそれは艶やかさを残したまま、しかし明らかに息絶えて いるのが分かった。
「ハトです。」
以前からホームレスのおばちゃんが悔しまぎれにこんなイタズラを仕掛けてくる話は
聞いた事があった。
そりゃ驚いて大声上げたけど、何が一番びっくりかって
何故アナタ平気ナ顔シテ ビニール持ッテルアル??!
3メートル後ずさった私に彼女は笑顔で話始めた。
「うちの実家ハト食べるんですよー。じいちゃんが山で獲って来るから。」
ひきつった私に続ける。
「あっ、ウサギも意外とおいしいんですよ。食べてみてください。」
「そーねー。歌で”兎追いしかの山”って言うもんね。」・・・はっ?
いつの間に話に混じってきたお客さん。遠くの席からからよくぞここまで。
でも申し訳ないんですけどそんな小ネタ要らんけん。ちゃんとご飯食べよーねー。

結局、謎として残ったホームレスのおばちゃんとハト。
私達は「ハトばばぁ」と愛称をつけ再会の時を心待ちにしている。

2005.8/15 (上海編その5)
休日を利用して朱家角に日帰り旅行に行きました。
上海から西に車で約一時間のところにある水郷古鎮。
明代から続いているという町並みは街中の異常な高層ビルの並びを一転して古き良き中国を残している。少し土色をした空気の中、民家の間を小船で移動する。

「あー信じられんくらい時間がゆっくりだね。」
私達は上海の雑多な生活に疲れていたのかもしれない。
隣に座っている友達の顔がいつもよりやさしく見えた。
船を降り路地を歩くとたくさんの店が連なっている。
とある店には亀、蟹、犬、鳥など何十種類もの生き物の姿が。
「かわいいワンちゃん。お前お名前はあるのかなー?」なんて友達が頭を撫で撫でしている。すかさず店主が「いくらなら買うか?」と電卓を突き出してきた。
どう考えても私達が連れて帰れるわけないし。
「無理無理!」と説明すると「大丈夫。頭だけでもいいから・・・。」
「・・・・・え?」・・・食用でした。カブトムシみたいなのも居たのに。
全部食い尽くす気かい。恐るべし中国人。 お隣の中華ちまき屋さん。一生懸命客引きする前に、場所変えた方がいいですよって教えて あげたかった。

で、なんだかんだ癒されて帰りのバス。
「中国もいいとこだよね。」と話していた矢先、「くあぁ〜〜〜〜っっぺ!」・・・バスの中にタンを吐いたおばちゃん。いいよ、見慣れてるから。
でも一回だけグーで殴らせて欲しいな。あーどこに行ってもやっぱりにくい。

2005.8/13(上海編その4)
隣のクラスの韓国人、チナちゃん20歳。
仲良くなって、日本語にも興味を持ち始める。
「ファックユー、インジャパニーズ?」って、こんな言葉ばかり覚えたがる。
しっかりメモられるから、へたに教えられない。
とりあえず「このバカチンがー!」と教える。
とても気に入って大声で繰返すもんだから、たまに日本人のおじさんなんかがびっくりして振り返ったりする。(弁解も一苦労。)
その為、日本人の前では変なことは言わないでね、って約束してもらう。

その次の日。
チナが教室に駆け込んできて、うれしそうに腕をひっぱる。
廊下に連れ出されたと思ったら、満面の笑みを浮かべて
「ハゲー!ハゲーーー!!」と大声で叫び出すではないか。
声の方向を見ると、留学生担当の江先生(通称ミスター、ジャン)がこちらを見て立っていた。チナは指までさして、「ハゲー!ツルッパゲー!ハナゲーー!」と今まで教えたことを全て吐き出すかのように続けて叫ぶ。
確かにハゲで鼻毛も少々出してはいる。よく覚えてたなー、とちょっと感心していたのもつかの間、ある重大な事を思い出し「あがーーー!!」とあごが外れんばかりに大口を開いてしまう。そう、ミスタージャンは日本語が話せるのだ。
「チナ!シャラーーーップ!ノーー!」・・・だが時すでに遅し。
ミスターのあの氷のような冷たい目。きっと私は一生忘れない。
チナをその場から連れ去り説明すると、中国人の彼は何も分からないと思っていたらしく言葉を失っていた。
その日1日、私達二人はミスタージャンを避けてコソドロの様な動きをする羽目となったのは言うまでもない。

200 2005.8/9(上海編その3)
上海で見つけたおかしなモノ。友達が買った一冊のノート。
裏返してみると背表紙の部分が半分しか付いてない。
「あと少しだったねー。」なんて、そんな事に慣れまくっている周りのみんな。 それでいーんかい。
あと、街を歩いててよく見かけるのが思いっきり鼻をほじっているおっさんおばさん。真剣な顔をして一点を見ていたかと思うとこちらを凝視する。目も逸らさず。「家でやって来んかい!」と目の前でののしる大阪人の女の子。・・・ごもっともです。こんなチャイニーズ達(書きつくせん。)。あーにくい。

2005.8/8 (上海編その2)
AM8:00からの授業開始。
日本人の少ない私のクラスでは、英語で中国語を習うというおかしな事態になっていて。
会話で無い分、聞き取るのがかなりきつい。
文法に関しては毎回の予習が欠かせない感じで。
ついでに隣の席にはクラスで一番出来の悪いクリス(スウェーデン人)が座ってしまってるもんだから、分からないところを一々英語で教えてあげる事に。
そんな彼の悩みは勉強ではなく毎日の下痢
辞書は持ってこないくせに手にはいつも珈琲とトイレットペーパー(ちなみに中国語では「手紙」という)を抱えている。
もよおしてくると「アウッ」と言って凄い勢いで教室を出ていくのだ。
(こっちがびっくりする。) 
そんなある日。
いつものように「アウッ」があり、慌てて椅子を引いても席を立つ気配なし。
見ると青ざめた顔でこちらを見ている。
と思ったら瞬時にあの嗅ぎ慣れた臭いが教室を襲う。
そう、かれは漏らしちゃったのだ。「リーブミー!プリーズ!」心配すらせず、手であっち行けと追い払ってやると引いていた空気も次第に笑いに変わり始める。
彼も笑いながら椅子を尻に引っ付けたまま教室を出て行ってしまった。
 その夜売店の前でクリスに出くわす。顔を真っ赤にした彼は私のおかしな(おかしかったか?)セリフにお礼を言ってきた。珈琲つき。明日はトイレットペーパー2個持って行くよ、なんて言いながら。

グリグリが発作をおこし留学にいってしまいました。最初はイタリアにいたのですが今は上海にいるようです。はよ帰ってこんか〜〜(注※編集)
2005.8/1 (上海編その1)
殺人的暑さ。犬もどこへやら(一匹も見てない!)。
毎日ひーこら言いながらここ上海大学の夏期講習に参加中。
多国籍で教室はまるで地球を凝縮したみたいで。
日本、韓国、アメリカ、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ロシアなどなど約80人の生徒が顔を合わせる。
そんな時大体出遅れるのが英語を話せない人達、また自国間で集まりがちな日本人の女達。連れションと円陣組むのがお得意らしい。
日本人以外は、というと竹島問題を持ち出す韓国の大学教授。
あやうくここでも日韓関係にヒビが入りそうになる。(彼はなんでか怒りまくっていた。)また、貧富の差について熱く話していたロシアの女性。
広すぎる国内には色んな問題がたくさんあるらしい。
また、「日本はなんで中国に謝らない?南京大虐殺も教科書に載せてないんでしょ?!」とつめよるフランス人。
「載せてるし!」と言い返し説明するものの、何しろ英語だしうまく伝えきれず。
無念・・・。 
でも、彼らは決して喧嘩を吹っかけてるのではなくそれだけ世界情勢に関心を抱いているのだ。日本との差。  
「何ね。イギリスだって香港乗っ取ってたじゃん。」話をすりかえる。(小泉の真似?)  この日夜中までミニサミットは続いた。次の日はと言うと、あんなに張り切って語っていたヨーロピアン達は揃いも揃って遅刻して来ることとなる。(説得力まるでなし!)

2005.7/5
鏡の前に立ち思わず目を伏せた。
最近よく食べるなーって思ってはいたけど何ですかこの肉は。
三段腹がつながると一段になるんだね。パンツのゴムに乗っかったその姿は相撲取りのまわしを思い出させる。
「か、かぼちゃ!」 思わず口走る。
お願い、誰か収穫してください。

 

2005.6/10
蒸し暑いお昼間。
今日も日課のおしぼり巻きにせっせこ励む。
金曜だけあって300本。
洗濯屋さんから返ってくるそれは、綺麗だけど漂白剤の臭いが少しきつい。
流水に一旦浸して巻きなおすのが我が宴会場の特徴なのです。
一見地味だけど大事な作業。
仕事帰りのサラリーマンが気持ち良さそうに顔を拭く光景を思い浮かべる。
 
そんな蒸し暑い週末にはお隣のアイスクリーム屋さんもここぞとばかりに声を張り上げる。 「乳脂肪分ゼロのヨーグルトアイス!マンゴー、ラズベリー、キウイにバナナなど!」
いつも頑張って客引きをしているこのお兄さん。
しかし一言言わせておくれ
最後の「バナナなど!」でアンタいっつもカンデますからっ!
そりゃ「な」が3つも続けばみんなカミカミになりますからっ!
「キウイなど。」に変えればいーじゃん。
5回に4回はジタンダ踏んでいるのよ私。
今日は大目には見れず、窓を閉めてクーラーをつけました。
おしぼり巻きもこりゃはかどるね。
いつかあいつに教えてやろーっと。

2005.5/30
  タイピーエンがブレイク中のこの頃。
取材陣の出入りも見慣れていたのだが、出演依頼を受けるとさすがに胸が躍る。
そうテレビ!前もって言ってくれればいいのにー、とかなんとか言いつつすでに手は要領良くお化粧を始めていた。
  「宜しくお願いしまーす!」と、顔の小ちゃいレポーターの女の子。どうやらこの子にタイピーエンを運ぶ役らしい。こりゃ遠近法を使うしかないね、とか立ち位置を考えているとアシスタントが我が首に小型マイクを付け始めていた。ふーん、なかなか本格的じゃん。って「え?私なんかしゃべるんですかーー!!??」自分でもびっくりする大きな声に周りのお客さんも笑い出し、おばちゃん軍団からは「頑張らなんたい!」と応援までいただく。
そうこうしている内にタイピーエンが出来上がっていた。打ち合わせもままならないまま撮影スタート。
 「わ〜!おいしそう!特徴はなんですか?」ってやたら大げさで
こんなに喜ぶ人はきっといないだろう。説明をすると思ったよりあっさり撮影は終了。ただ、隣で思いっきり映る気だったおばちゃん軍団のフルメイクと不自然なカメラ目線は悲しく続いていたのであった。 (お願い。あきらめて!!
放送は6月26日13:05TKU ミッション3という番組です。 是非見てくださいね。

2005.4/9
20日ぶりのお休み。
ぐーすかピーごしに時計を見ると昼の一時。
「もーそろそろ起きるか〜。」って、一時ですかーーー!!
友達と花見に行く待ち合わせ時刻、そう、ちょうど一時。
「あら、ら・・・。」 しかもおにぎりと玉子焼き作るって言ってたよなー。
とかお風呂に入りながら思い出し、お化粧しながらお迎えを待つ。
もう3時を回っていた。
笑顔で迎えてくれた友達にべそかきながら謝って。
おべんとう作れなかったことも謝って。
「えっ?朝電話で起こした時言ったこと覚えとらんと!?」
・・・はい?朝?電話いただきました?
「にわとりが具合悪いて言って今日は卵産む気無いらしいけん、玉子焼きは 無理て。おにぎりは?て聞いたら、米屋が今年は不作てぶつくさ言いよらす。米がとにかく手に入らん。て、あんた言いよったよ〜!!」

・・・・・・・本気と書いてマジですか??!!
寝ぼけるのは得意だけど、ついにここまで来ましたか。

子供の頃、日曜の朝起きていきなり新聞を持ち、「今日から新聞配達に行くから。」と言ったこともあったし、 夜中寝ぼけてトイレに布団を持って行き、その上でおしっこをしたこともあったけど(相当怒られた!) 26歳になった今、自分をどう信じて生きていけばいいのでしょうか!
さくら〜さくら〜。
私の頭も桜が咲いてるようです。
この日二の丸公園を散歩して友達の子供と一緒にかけっこして20日間の疲れは全部吹っ飛びました。 子供の名前は「莉桜(りお)」ちゃん。
まさに桜のような満開の笑顔に癒されまくった一日。

2005.3/15
風邪をひいた。たぶん10年ぶりくらい。
仕事が終わって疲れ果てた体はすぐにベッドに倒れこむ。
我慢できないのが止まらぬ咳と、栓をした様な鼻詰り。
「どうやって息をしろとおっしゃいますか。どうやって・・・」
自分でも訳の分からん事を呟きながら(誰に?)気づけば朝を迎えている。ああ、また今日も寝ていない。
 
病気になると何もかもが面倒になる。
化粧っ気のないくすんだ顔と、とりあえずそこにあった服を着て、
立ったまま履けるローヒールの靴を選んでマスクをして出掛ける。
体が少しきついだけでここまで落ちるのか。なるほど人はこうやって歳をとって行く。
あれもしたい、これもしたいと欲張っている内がもしかしたら華なのかもしれない。 

この日ようやく病院に行き深い眠りにつく。どのくらいの時間が経ったのだろうか。頬っぺたに付いた深い寝跡は夕方まで残っていた。(肌だけは確実に衰えていく!気をつけろ!)

005年2月21日 1:02 am

<お茶編>    写真は南香茶葉公司
茶葉を買いにいざ市場へ!一つの建物の中にはたくさんのお店があって、
前を通る度に「座!(ザオ)」と声を掛けられる。あー、お茶いれてくれるんだー。
お店は部屋の中にあるのに茶葉の保存の為にすごく寒いから、たち上がる湯気もふだんの倍くらいにみえる。
「ありがたやー。」 
一口サイズの小さな杯は飲み干す度にまた注がれる。
目の前にいる赤いほっぺの少女は何歳くらいだろうか?
時々急須のふたを鼻にやると私にも同じ事をしてくる。
「好香(ハオシャン)!」二人でそう言い合うと、どれくらいの時間色んなお茶を飲んだっけ。
その中の一つ、ジャスミン茶をお母さんのお土産にした。

05.2/15
<空港編> 三日間の上海の旅。目的は大学見学行っとこうかねー、みたいな。
こーゆー時って大体そうだけど出迎えはいつも雨。またかいっ!ってなんで傘持ってこなっかたんだろ。
びしょぬれでマスカラが黒い涙と化す。
空港の出口にはプレートに名前を書いて客人を探す人達がわんさか居て。 途中「ソフィア?ソフィーア?」と必死で声を掛けてくるおっさんがいたけど、どう見ても私がソフィアのわけないじゃん!後ろに居た金髪の外人を適当に指差すとおっさんは必死でその外人の腕を掴んでいたけど、「ノー!ノー!」と逃げまくっていた。ごめんね。頑張って振り切ってね。
で、私はというと、旧正月で帰国している調理師の王さんの笑顔を発見しました。                                                                        つづく

05.2/1
あれはいつだったかなー、
も。確か去年のアテネオリンピックの頃。
「英検一級取ります!」なーんて大口叩いて勉強に励む毎日。
北島の金メダルに励まされ、なーんか自分も何か出来そうって感じで。
でも一級の問題集ともなると知らん単語の方が多くて辞書ばっかり引かなんし。進まんたい、つまらんね。って休憩がてら始めた中国語の方にだんだん時間を割くようになっちゃって。
英検一級の夢は儚く消えうせた。(一ヶ月坊主!)
北京への留学を考えだしたのはちょうどこの頃。
勉強はとりあえず置いといて、準備に取り掛かった最近。
予定は7月から一ヶ月の北京語言大学での夏期講習と9月から一年間の長期留学で。寂しくて死にそーだけど(前世はきっとウサギ)、残す期間はあと6ヶ月。
手続きから一人で頑張るぞーい。

04.9/20
あなたが居なくなったから悲しいのではなく
あなたと居た時間時間に愛があったことに気づき
涙を流しているのです
冬の寒空の下 血を流した冷たい地面
硬いベッド リハビリの長い廊下
何も声を掛けられなかった
あなたは笑ってくれていますか
私が知らない時間 愛はありましたか
今はこんなにも愛があふれているというのに

あとがき 私のおじいちゃんが亡くなって10年になりました。 たくさんの手紙をこれまで天国に送りましたが 返事はきません。でも私の想いは全てお見通しのようです。

04.9/14
うちの近所にやたら気になるおやじがいる。
出勤時にはかなりの確率で出くわしてしまうのだが、 「またデートな。彼氏がいっぱいおるとだろ?」と返す言葉も見つからない 陰言を飽きもせず吐きやがる。
  手には大体スコップを持っていて、犬猫除けの 薬剤を家の周りに撒くのが日課なのだがそれがやたらと臭い。「お前が一番嫌われ てんだよ!」といつか言ってやりたい。そしてもうあんた自身に臭いが付いてるから もう必要ないよ、って事も。(臭いの原因は、近所の住民が出したゴミをチェックする ことにもある。犯罪じゃ?)
  そんなおやじの宝物は最近買った中古のベンツ。買ってからは前にも増して 外をウロつく時間が長い。大事にしすぎてボンネットのベンツマークには薄汚い 四つ折のタオルを被せている具合で。分析した結果、昔の人間がテレビが普及 した当初液晶部分にカーテンを掛けていたものと同じ心境だという一つの答えを 得られた時、少しうれしかった。(3日くらい考えた。)
  そんなある日。30年ぶりに大きな台風が直撃!ってことで仕事は夕方から、 朝から家に閉じこもることに。昼頃にはあまりの凄さに停電までしていた。 「テレビも本も見れんたい!どぎゃんなっとっとね。」と窓を開けると、前の家の 雨よけの波板が風で飛ばされてもうあと一枚!もってけドロボー!みたいに なっていて、間もなく隣のおやじの家に吹っ飛んでいったのだ。
  なんかちょっと 面白いたい、と窓に顔をびっしゃげて付近の様子を観察すると、ある凄まじい 光景に一瞬鳥肌が立ちそして私は静かに微笑んだ。
  あのおやじのベンツに 一本の太い木が根っこも抜けてずっしりと倒れていたのだ。しかも追い撃ちを 掛けるかの様に風でベンベン枝葉がボンネットをやっつけている。もちろん大事な あのマークも。
  そして「そう、そこ!」と応援しながら、いつもやたら外に居るくせにきっと 今日は家でちっちゃくなっているであろうおやじの顔を思い出していた。ぎゃん時には 出てこんでから。ざまーみろ。あー、すーーーーっとした!
  それから約一時間くらい外を眺めて居ただろうか、そして自然は何でも見ているのだ、きっと土壌の怒りなんだと 悟ったのであった。 そう、あの日以来おやじは心なしか元気なさそうに相変わらず粉を 撒いている。が、未だベンツは見当たらないのであった。(廃車か?)

04.1/26
 「現代美術館でライブ」なんて普段聞かないフレーズに惹かれて、ふらり一人で 足を運んでいた。毎度の如く。
  今日あるのはピアニストのロン・デイビストリオ。 聞いたこともなかった名前だが、行ってみると開演30分前にしてもうステージの 前列の方はいっぱいだった。立ち見かい。明らかに足りてない椅子を求めて スタッフらしき女性に声を掛けた。
  「はいどうぞ。」渡されたモノは前方の一人がけソファーとは大違いの学校用の椅子だった。同じように渡されたおじさんは「なんね、 こぎゃん低かったら何も分からんたい!」と、無駄にデカイ声で周りを虜にしていた。 いーねー、こんな人。何かやらかしてくれそうだ。思わず隣に座った。

そしてライブスタート。あまりにローテンポのメロディーに思わず拍子抜けし こりゃ高年齢向けだな、と物足りなさを感じる。目の前に座っている同じ歳くらいの 若者なんて一曲目終盤でもう夢の中のようだ。もう少し我慢しろよ。 曲の間にロンが挨拶。「こにちわ。今日はどうもあーりがとう。」 ベタな日本語だが人の良さがなんとなく伝わってくる。覚えたのはその言葉だけで、 後は英語でゆっくり自己紹介をする。
  そんな中、おじさんの隣に座っているおばちゃん が「何て言いよるか解らんねー」と口ずさむと、おじさんつかさず「バカが!こんくらい 解らんなら聴きに来んでよか!」と一喝。続いて「大体日本人は通訳のしすぎたい。そぎゃんこっだけん ・・・・」と、どーたらこーたら。ぐーすかぴーの前の若者もやたらデカイ声に一瞬 「びくっ」として目が覚めたらしい。
  おばちゃんは絶句だったがその後おじさんが通訳を 始めて(怒りはイズコヘ)、周りの私達も絶句しつつおじさんのあやしい解釈を聞く羽目になった。こりゃ戸田奈津子もびっくりだね。
  その後2曲3曲と静かな空間の中、スタンダードの演目もありなんとなく観客も リラックスしている様だった。

そして途中、葉コージのSAXも加わり演奏にも幅が 出てくる。人を惹きつけるところはいつ見てもさすがだ。前方の 若者もノリノリで体を左右に揺らしている。って、あんた今までおじさんに起こされた 以外ぐっすり寝てたじゃん!なんて変わり身が早い奴なんだ。
  そして、隣の女も 葉コージの「クラシックじゃないからいつでも手を叩いたりしていいんだよ。」 という言葉に、関係ない所で自信なさそうに周りを見ながら2,3回手を叩いて いる。終いには手に埃でも付いたかの様に小さくパンっと消えて行くのであった。 いいじゃん、好きにすれば。でも今のタイミングはちょっと、いや大分外してたね。

後半は拍手カッサイ、知的なロンは大人気だった。そう、彼は大学の助教授も、 弁護士も辞めてのピアニストだった。そんな彼含めて好印象だったのかもしれない。 一時間のステージも無事終わり、アンコールにはビートルズから一曲。観客層を 見越したいい選曲だ。隣のおじさんも喜んでいた、はずだった。
  曲が終わり鳴り止まない拍手の中、一番に立ち上がったおじさんは耳を疑う様な 言葉を発した。「そぎゃん手ば叩いてももう何の曲もでらんとよ。アンコールは 二度はせんと。意味ん無かこっだん。」
 ぐふっ。最高だよおやじ。 そそくさと立ち去る彼の派手なネクタイを横目で見ながら、きっとまた何処かの ライブで会いたい、そう思った。そしておじさんを見送り前をむくと、いつのまにか 居るはずのトリオはステージを後にしていたのだった・・・。   つづく

 

11/24
最近思い立って英語の勉強を始めた。 学生時代から就職して約5年間、全くと言っていいほど使われなかった私の頭は高校時代の英語の参考書を開くと、その内容の忘れっぷりにウンザリした。 恥ずかしい話、飲み会の場で「外人ごっこ」という、シラフでは理解できないようなゲームがあって。
  「んじゃ、私リンダ!」と、思いっきり日本人のくせにそれぞれ外人名を作って(なんじゃそりゃ)、英語以外を話すと罰ゲームという、何の罰かはさっぱり解らんがそんなゲームが始まった。自慢じゃないが、小学校の頃から英会話スクールに通って高校初期には「英検2級」という学校でも優等生だった私に、勝ちゲームかい!と笑っていたのに。出てこない。言葉が。「ハロー」って、なんだよ今「ハロー」って!頭のどの部分を使っていいのかすら忘れておった。さんざん過去の栄光を話していた私に「なんね、あんた丸出ダメ子?ハッタリ半蔵?」って誰だよそれ!っていう名前を付けられ、リンダを昇格させられる羽目に。 そして今に至る。
 でも勉強をしていて気付いたんだ。 外見を磨いて自信を持つこことは全く別に、内面を磨くことのなんともいえない充実感と安心感。鉛筆ダコを作って、思い出した学生の頃。あの頃は勉強に夢中で、今思うと一番自分に自信を持ってて何よりそんな自分が大好きだった。今していることは受験の為でも何になるとかそーゆーんじゃないけど続けてみようって。英検準1級を目指してみよーかなーって。 そして今日という日も存在を実感している。なんと幸せなことよ。

7/2
ついに来たんだこの日が・・・。 見知らぬ男女の集まり、コンパ。なんて甘っちょろい響きなんだ。
「苦手だけん。無理だけん。話しきらんけん!」
「でも、今回はかなりイケてるって。だってスケーターだもん。」 て、アンタ。本当か?
言葉の節々に疑いを感じる。 思えばこの時断っておけばよかったんだ。

で、やっと仕事も終わって予定より一時間遅れで行くことに。 どうやら居酒屋で、店の1階には酔っ払ったおじさん達が顔を真っ赤にして 後輩の若者をひっ捕まえてウンチクを並べている。雰囲気まるでなしのこの店に 一体誰が予約したんだ・・・とブツクサいいつつ二階にあがると、フスマの向こうに 聞きなれたトーンの声がする。ここかい。

十センチくらい開けて中をのぞくと、 全部合わせて15人くらいはいる、たぶん。もちろん男の子 は知るはずもないが、会ったことのない女の子も居るみたいだ。どう考えても 馴染めそうもない空気に後ずさりしたその時、「あ〜!やっときた!」 いつもより何オクターブか高い声で友達が指をさしている。しまった!どうやら 逃げ遅れたらしい。そのまま腕を引っ張られて中に入った。
もうダメだ。だいたい部屋と人数が合ってない。熱気と二酸化炭素とタバコの煙に なんで私が身を投じなければならないんですか!疲れてるのに!何度あるんだよ この部屋。そして感じよーよ、自分の皮膚で。

そんなくそ暑い中、そのスケーターと名乗る集団が自己紹介を始めた。 「大樹でーす。」確かこんな名前だったであろう。全員がご丁寧に同じような キャップをかぶっているのに見とれながら、終わった頃には一人として名前を 覚えきれてなかった。あ〜あ。またしても何の因果で・・・。
次に女の子の一人が 「み・き・でーす!!」と両手を広げて挨拶してきた。でも、解らないのだ。 こんな時どう返せばいいのか。手相を診てほしいんじゃない事くらいは明らかだが、 その手を私にどうして欲しいんですか?とりあえず「はじめまして。」と、自己紹介 しつつ手を乗せてみたが、みきのこわばった表情に「ブー。」と頭の中でブザー音 が鳴り響いた。どうやら不正解のようだ。
それからはどうにかこうにか友達の手前もあって、みんなの「どっ!」という笑いに 合わせて(何がおかしいのか解らんが)、その場に居合わせた。 一つ判ったのは、そのスケーターとやらの語彙力の無さ、意味不明なはやり言葉 をすぐ語尾につけたがる、ということくらいだろうか。もう我慢ができなくなって、 つい質問をしてしまった。

「ねえ、スケーターって何?」
聞かれた男の子はびっくりした様子で「え〜?知らないの?スケボーっしょ!」 周りのみんなも呆れた顔をして大笑いをしている。
「いや、そーじゃなくって、 ‘スケーター`って何ね。仕事?何のくくり?毎日何やってんの?」 奴の歪んだ口元がさらに形を変えた。「今、プーみたいな?この間バイト辞めたし。」 身の上話が始まり、聞けばほとんどバイトすらしてないプー太郎の集まりだった。
明らかに変わったこの場の空気にだんだん盛り上がりをなくし、逃げるように携帯を 持って外に出て行く姿もでてきた。そしてついに酔っ払ったみきが暴言を吐き 始めた。
「あーあ。こいつらどの金さげて飲みに来てんだろーね。」
これがコンパでの最後の言葉となった・・・。

店を出て、友達と二人でお互いに謝りながらジャンジャンゴーに飲みなおしに 来た。なんだかBGMのコルトレーンが出迎えてくれたようで、やっと今日一日が 終わった気がした。
「ごめんねー。今度は絶対イケてるの誘うし!」 「うん。信じてる・・・。」って誰が信じるかーーーーい!! この日私は二度とコンパに行くもんかと固く心に誓ったのであった。                                   つづく

4/10
朝から雨とかツイてないし。
いいなー、マイカー出勤とか。響きがいい。
ついでに車を運転してる人の顔がやたらと自慢気に見えるのは気のせい だろうか・・。
いつになったらそんな日が来るのやら。あ、でもこの歳でそんな身分に なっちゃったらこの先つまんないしね。今はまだこんなもんでしょ。
「そ、そ、そ。コレコレ。」 と、言い聞かせながら今日もバス。

うーん、さすが雨の日、すごい混み様。
「はい。動きま〜す。」ってたぶん言っているだろうと思われる運転手。 と同時にウソって位によろけるじーさん約一名。その隣には携帯を片手に のうのうと座っている若い女が。朝っぱらから誰にメールを送っているのか。 「このバカ女が!」 はまずいだろう。「席を譲りませんか?」 なーんて、 さらっと言えるわけもない。耐えてね、じーさん。なんとか持ちこたえてね
周りをみるとけっこういろんな人がいるんだ。自分の顔と同じくらいの鏡を 広げて化粧をしている、常識しらずの派手なねーちゃん。マスカラ付ける 手つきも慣れたもんだ。バスの揺れまで利用してるし。 
その後ろには、 「ピーピーピー・・・・。」 と、さっきから息をする度鼻が鳴っている高校生。 思わず長渕剛を連想して吹出しそうだ。もう頭の中は 「♪ロクなもんじゃ ねぇ〜。」まできっちゃってるし。
あと、後ろに立っている、どこに行く訳もないような おっちゃん。服装からしても仕事に行く様子ではないし。とにかくばかデカイ くしゃみを連発している。花粉症ですか?暇そうだから病院に行って欲しい。 
そしてトドメに 「降・り・まーーーーーす!!」 と言って斜め後ろからぶつかりまくって通路を通る、太いおばちゃん!距離感なんて まるで無い。もー勘弁してください(涙)。そして痩せよーよ。(てか、歩けよ!)

そんなんで、もうすぐバスが着こうとした時。「一万円両替できる方いませんかー!」 って運転手。
このセリフは見せしめ以外の何物でもない、今までの空気を消し去る瞬間。一番前で困った様子の女性がどうやらその人らしい。何人かは財布を探っているようだが反応はなし。私もとりあえず見る真似はしてみるものの、一万円どころかバス代くらいしか入ってない。てか、普通に一万円とか財布に入ってるんだったら バス通勤とかしてないし!おやじのくしゃみとか髪にモロ受けしてないし!
結局その女性はバスカードを一万円分買っていた。見せしめにされた挙句の果てが この結果か・・・。ついでにこれから一時はバスに乗ることを余儀なくされたのだ。 (もしかしたらバス会社の作戦か?)
んで、やっと自分が降りるとき。ボタンを押そうと手を上げた瞬間、「ピンポ〜ン」 って先に誰かが押したらしい。どーする?この押す気満々だった人差し指。 とりあえず、左の人差し指と合わせてみた。なんとなく。まだまだだね、私も。 きっとこれからもバスの日々は続く・・・。

3/19
知り合いに、ある有名なアメリカ人のドキュメンタリー映画のチケットをもらった。
ちょうど暇だし行ってみるか!って事で会場は7階、エレベーターに乗り込む。
さすが有名人!多いな人が。何百人単位でいるかもな。
周りには黒のタートルネックに茶色のジャケットのおじさん方。 なんだか大学教授っぽい。勉強熱心そうな外国人留学生の姿もちらほら。あと、政治に関心あり!みたいななんちゃって知識人。
そしていたいた!ザーマス的ババァ連中。きっと家事を放棄して来たんだろう。旦那は家でカップラーメンか?そんな中私はどんなシチュエーションで今日は行こうか・・・。

前売券のおかげで、当日券を求めて並ぶ行列を横目にいち早く席をゲットした。その後席を埋めるように人が流れ込んで来ると、
突然 「ハイ!ピーター!」と呼ぶ声が。
「ここいいですか?」と慣れた日本語で私の左隣の席につく、どうやら彼がピーターらしい。それにしてもデカイね、ピーターは。肘が私の胸の所まではみ出してるよ。あーあ、せっかくいい席取れたのに。なんて思ってると、次は 「キャサリ〜ン!」って、声もデカイんだよ、ピーターは。
声の先を見ると、本気かよ!?これまたデカイ体のキャサリンだよ。しかもこっちに向かって来てるし! 「ナンマイダ・・・。ナンマイダ・・・。」 右側には別の女性が座ってたおかげで、とりあえず二人に挟まれずに済んだが、その女性と私を挟んでキャサリンは席につき、ピーターと話し始めた。席換わってやろーか?って一瞬思ったけど絶対無理だね。二人並ぶとキャサリンのはみ出る場所がない。仕方なしに、分からん英会話を聞く羽目になってるし。とりあえずアイズチを打ってみる。よし、ついでだ笑っとけ!ってどうやら笑う場所を間違えたらしい。不思議顔のピーター。やっちゃったよ・・・。

会場が暗くなる。開演の時間だ。 ほとんど満席の場内は熱気がすごくて蒸されそう。ピーターもたまらずジャケットを脱ぐ。 と、その瞬間、「クサっ!」 ピーターからすんごいにおいが!
これは「ガ」なのか。ピーターあんた「ガ」ですか!?汗かいっちゃったんですか!?思わずマイクを向けたくなる。 ちょうど背丈からしてピーターの脇は私の顔の隣にきている。しかも狭い座席で体制がきついせいか、何度も座りなおすのだ。その度に飛んでくる「ガ」の大群。 「ヘルプミー!ヘルプミーーーーー!!」 頭の中で、マスクをして頭にタオルを巻いてみた。勿論、効果なし。一体何しにここに来たんだ、私。なんでよりによってこの席に。何の因果で・・・・。タオル頭の私に答えをくれる人誰もなし!

それから私は席を立つ勇気も無く、眠りに就いた。 キャサリンの笑い声に何度も目覚めながら・・・。

3/9

あなたの心に湖がある
とてもきれいな湖がある
傍らには一本の真っすぐな木があって
私はいつもそこに座って見上げているんだ
木漏れ日が眩しくて
目を細めてしまう
そんな日は ついお昼寝をしてしまうのだけれど
夜は代わりに灯りをともしておくから 
もう心配しなくていいよ
いつか私にも真っすぐな木と
何時も何人にも侵されることのない
強い根っこができるときには
その木の隣にどうか身をおけるように
神様にお願いしよう   
「あなたの心に湖がある。とてもきれいな湖がある。」
湖に浮かんだ 私の種

2/25本日の客人

予定時間に今日も待つ。 宴会人数25名様。

一階でエレベーターのブザー音。おっ来たな!てか定員オーバーだよ。 ハイ、一人降りてね。そして笑いすぎだよおばーちゃん。ん、?おばーちゃん? おじーちゃんの声も聞こえる、、、。

「いらっしゃいませ!お待ちしておりました!!」 ゆっくりゆっくり歩み寄る本日の客人。推定年齢85才(×25名様)

「靴をお預かりしまーす!」と間髪入れずに「くつんと入れとって」とはなかなかヤルらしい。「じゃぁ、クツろいでくださいね。」と返してみるともうそそくさと部屋に入っていく様子。 チッ、こんな時だけ足早に、、。 見ると靴の底には「柴田」と書いてある。柴田さんって言うのか、。さんざん靴を間違ってはいて帰るんだなー、この人。きっと家では息子の嫁に怒られてんだ、、、なんて想像している場合じゃない、ビール出さなきゃ!

宴会も中盤にさしかかった頃、昔話がそこら中に花開き、歌まで歌い出すじーさままでいらっしゃる。 ここは昭和か大正か。

そんな中びっくりして目を見開く。 灰皿に酢排骨を取って食べてるじーさまがいる!! 皿がないのか、いや皿なら手元に思いっきりある。とりあえずテーブル整理をするふりをして偵察に行こう。 するとなんと柴田さんではないか!! 勘違いしているのかな。いや、どーみても灰皿だし。柴田さんちの皿は全部ガラス製?いや そんな家はありえないし。あ、もしかしてウケねらい?いや、全然笑えないし、、。(ツッコミもなし)

んー、やぱり言うべきか。でも言えば廻りの人は、柴田さんはボけていると思うかもしれない。ここはこっそり取り替えよう。酢排骨を皿にとって シレっと置いて灰皿を引いた。よし大成功!全く気付いていないのを尻目に部屋を出た。

そんなこんなでもうそろそろ「えんもたけなわ」の時間。 ふと柴田さんを見ると、 どぇぇえ〜〜〜〜っっ!!灰皿に炒飯取って食ってるよ!しかもウマソーに!! あっそー。もーいーよ、柴田さん。 そして私は「みなさ〜〜んっ。このじーさん 完全にボケてま〜〜す!!」と心の中で大声で叫んだ。 その後私は柴田さんが来た時の為に 毎日灰皿をピッカピカに磨き上げている(ウソ)

2/25更新
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